味噌の発酵パワー|サポニンとメラノイジンの効果|体を内側から温める理由

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なぜ味噌汁を飲むと体が温まるの?日本の発酵食品の秘密

#伝統食#健康#味噌#栄養#温活#発酵#腸活

寒い朝に味噌汁を一杯飲むと、体の芯から温まる感覚を覚えたことはありませんか。この体感は単なる思い込みではなく、科学的な根拠に基づいた現象です。1300年以上の歴史を持つ日本の伝統発酵食品である味噌には、体を温める複数のメカニズムが存在しています。本記事では、味噌が持つ温熱効果について、発酵の仕組み、栄養成分、そして歴史的背景から紐解いていきます。

「湯気が立ちのぼる、豆腐・わかめ・ねぎ入りの味噌汁が木製の器に盛られ、明るい木のテーブルに置かれている」

発酵の力が生み出す体温上昇のメカニズム

味噌が体を温める効果を生み出す最大の要因は、発酵という微生物の働きにあります。味噌の製造過程では、麹菌、酵母菌、乳酸菌という三種類の微生物が協働して、原料の大豆や穀物を分解・発酵させます。この発酵プロセスこそが、味噌を単なる食品から健康効果の高い機能性食品へと変貌させる鍵となっているのです。

麹菌による栄養素の変換作用

味噌づくりの第一段階で活躍するのが麹菌です。麹菌は、アスペルギルス・オリゼーという学名を持つカビの一種で、日本の「国菌」として認定されています。この麹菌が生成する酵素群は極めて強力で、原料のでんぷんをブドウ糖などの糖類に、たんぱく質をアミノ酸やペプチドに、脂質を脂肪酸へと分解します。特に注目すべきは、麹菌が生成するアミラーゼ、プロテアーゼ、リパーゼといった約30種類もの酵素です。これらの酵素によって分解された栄養素は、体内での吸収効率が飛躍的に向上し、エネルギー産生を促進します。体のエネルギー代謝が活発になることで、熱産生が増加し、結果として体温上昇につながるのです。また、味噌には体のエネルギーを作るために必要な栄養素であるビタミンB1やたんぱく質が豊富に含まれており、これらが基礎代謝を高める働きをします。

「顕微鏡で観察された麹菌の胞子と菌糸。丸い胞子嚢が胞子を形成し、白く繊細な菌糸が網目状に広がっている」

酵母と乳酸菌による腸内環境の改善

麹菌の働きに続いて、酵母菌と乳酸菌が発酵を進めます。酵母は糖をアルコールと二酸化炭素に変換し、味噌特有の香りと風味を生み出します。一方、乳酸菌は糖を乳酸に変換し、酸味と保存性を与えます。乳酸菌が生成する乳酸は、味噌のpHを下げることで腐敗菌や雑菌の繁殖を抑制し、長期保存を可能にしています。さらに重要なのは、これらの微生物が腸内環境に及ぼす影響です。発酵によって生まれた乳酸菌や酵母は、腸内の善玉菌を増やし、腸のぜん動運動を活発にします。腸が刺激されると交感神経の働きが高まり、代謝が上昇します。体温が1度上がると基礎代謝量が約12から13パーセントも増加するという研究データがあり、これは味噌を日常的に摂取することで太りにくく、冷えにくい体質へと改善できる可能性を示しています。

「腸内の絨毛が密集する様子を拡大・イメージ化した図。ピンク色の絨毛のまわりに、栄養素や腸内細菌を表すカラフルな粒子が漂っている」

大豆由来の栄養成分が体温を支える仕組み

味噌の原料である大豆には、体温維持と代謝促進に寄与する多様な栄養成分が含まれています。発酵という過程を経ることで、これらの成分はさらに消化吸収しやすい形に変化し、体温調節機能を効果的にサポートするのです。

たんぱく質とアミノ酸による筋肉生成

味噌100グラムには約12.5グラムのたんぱく質が含まれています。たんぱく質は筋肉を構成する主要な栄養素であり、筋肉量の維持と増加に不可欠です。筋肉は体の「発熱器官」とも呼ばれ、安静時でもエネルギーを消費して熱を産生しています。味噌のたんぱく質は発酵によってアミノ酸やペプチドに分解されているため、通常の大豆製品よりも消化吸収が早く、効率的に筋肉の材料となることができます。特に、味噌に含まれるロイシンやイソロイシンといった分岐鎖アミノ酸は、筋肉の合成を促進する作用があります。運動と組み合わせて味噌を摂取することで、筋肉量が増加し、基礎代謝が向上します。基礎代謝が高まれば、安静時のエネルギー消費量が増え、体温を高く保つことができるようになるのです。また、味噌には必須アミノ酸を含む20種類のアミノ酸がバランスよく含まれており、体内でのたんぱく質合成を効率的に行うことができます。

大豆サポニンとペプチドによる代謝促進

大豆に含まれるサポニンという成分は、血中コレステロールの低下を促す作用があることが研究で明らかになっています。さらに、サポニンには基礎代謝を上げる働きがあり、これが体温上昇に寄与します。発酵の過程で生成されるペプチドも、同様に基礎代謝の上昇に関与すると考えられています。味噌の発酵熟成過程で生成されるメラノイジンという褐色色素は、強力な抗酸化作用を持ち、腸内の有用菌を増やす効果があります。長期熟成された赤味噌や黒味噌ほど、このメラノイジンが豊富に含まれています。腸内環境が整うことで、栄養素の吸収効率が向上し、エネルギー代謝が活性化されます。結果として、体温を維持する能力が高まるのです。味噌にはビタミンB群も豊富に含まれており、特にビタミンB1やB2は糖質や脂質の代謝を促進し、エネルギー産生を効率化します。これらの栄養素の相乗効果により、味噌は体を内側から温める力を持っているのです。

「発酵熟成された味噌と、豆腐やねぎ入りの味噌汁が並ぶ。味噌に含まれるサポニンやメラノイジン、ビタミンB群などの栄養素が、代謝促進や抗酸化、腸内環境の改善を通じて体を内側から温める働きを持つことを伝える記事のビジュアル」

日本人の体を支えてきた味噌の歴史と温活への応用

味噌が日本人の健康を支えてきた歴史は1300年以上にも及びます。この長い時間の中で、味噌は単なる調味料を超えた存在となり、体を温め、健康を維持するための重要な食品として発展してきました。現代の科学的知見は、先人たちの経験的知恵が正しかったことを証明しています。

味噌汁文化が育んだ日本人の健康

味噌の起源は古代中国の「醤」にあるとされていますが、日本で初めて「醤」の文字が確認されたのは701年の「大宝律令」です。その後、日本独自の気候風土と製法によって、現在の味噌が完成しました。鎌倉時代には味噌汁が誕生し、「一汁一菜」という武士の食事スタイルが確立されました。鎌倉武士たちは1日5合の玄米に味噌汁と魚の干物という献立で、幕府を確立するほどのバイタリティを発揮したと伝えられています。戦国時代には、武田信玄や伊達政宗といった名将たちが味噌づくりを奨励し、兵糧として携帯しました。味噌は保存可能な貴重なたんぱく源であり、戦場での体力維持に不可欠だったのです。江戸時代には「医者に金を払うよりも、みそ屋に払え」ということわざが生まれ、味噌の健康効果は庶民の間でも広く認識されていました。1981年には国立がんセンターの平山雄博士によって「味噌汁を飲む頻度の高い人ほど胃がんによる死亡率が低い」という調査結果が日本癌学会で発表され、科学的にも味噌の健康効果が裏付けられています。

「湯気の立つ味噌汁が木製の椀に盛られ、赤い漆塗りの盆に置かれている。具材には豆腐、きのこ、青みのある香草が使われ、和の温かみと上品さを感じさせる」

現代の温活に生かす味噌の力

現代人の平均体温は60年前の36.89度から36.2度まで低下しているというデータがあります。この低体温化は、運動不足や冷暖房の普及、ストレスなどが原因とされています。体温が1度下がると免疫力が約30パーセント低下し、基礎代謝が約12から13パーセント低下するため、風邪をひきやすくなったり、太りやすくなったりします。この状況を改善するために、味噌汁を朝食に取り入れることが効果的です。朝に味噌汁を飲むことで、その日一日の体温上昇につながり、活動的な日中のエネルギー消費が増加します。特に根菜類を具材に加えると、ミネラルとビタミンEが体温上昇を促進します。ミネラルはたんぱく質合成の活動を助け、ビタミンEは血行を良くする作用があるためです。ただし、味噌の乳酸菌は50度以上、酵母は70度で死滅してしまうため、腸内環境改善効果を最大限に得たい場合は、火を止めてから10分ほど置いて50度程度まで下がったところで味噌を溶くのが理想的です。もちろん、乳酸菌や酵母が死滅しても発酵による健康効果や大豆の栄養成分は失われないため、熱い味噌汁でも十分な温熱効果を得ることができます。味噌を毎日の食生活に取り入れることで、日本人が長年培ってきた知恵を現代の健康づくりに活用できるのです。

琉樹商店の調理味噌で手軽に温活を始めませんか

この記事でご紹介した味噌の温熱効果を、毎日の食卓で手軽に取り入れていただけるよう、琉樹商店では調理味噌をご用意しています。「心に残るおふくろの味」をコンセプトに、素朴でありながらも懐かしい家庭の味を皆様の食卓にお届けします。

特におすすめは、青森県産最高級品種「福地ホワイト」と千葉県我孫子市の老舗味噌蔵「やまつね食品」の粒赤味噌を組み合わせた「にんにく味噌」です。にんにくには体を温める効果があり、味噌との相乗効果で冷え対策にぴったりです。忙しい毎日のちょっとした癒しに、家族団らんのひとときに、心を込めて作り上げた琉樹商店の味噌をぜひお試しください。

参考文献・エビデンス

  • ウェザーニュース「味噌の健康効果を効率的に得たいなら 温度調節が決め手」(2019年)
  • 神州一味噌「みそと乳酸菌」
  • 小林食品「味噌汁の8つの健康効果」(2021年)
  • みそ健康づくり委員会「みその歴史」
  • マルコメ「味噌の発祥と歴史」
  • 厚生労働省「運動の基礎科学 基礎代謝に影響する要因」
  • 日本癌学会(1981年)平山雄博士「味噌汁を飲む頻度と胃がんの死亡率との関係」
  • 広島大学(2006年)味噌の塩分と胃がんに関する研究
  • 白麦「体脂肪対策にも!見直される味噌汁の健康パワー」
  • 横山医院「低体温による基礎代謝低下の改善から得られるダイエット効果」(2022年)

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