高山 和弘
1968年10月6日生まれ。建築、運送業を経て起業。両親の介護を機に母親の手作り調理味噌の販売を開始。料理好きな母親の味を多くの人に届けたいという想いで、現在は調理味噌作りに励んでます。
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📝 この記事について: 琉樹商店では、地元の発酵食品である味噌を使った新商品開発に取り組んでいます。この記事では、調理味噌の原料として使われている赤味噌を活かした味噌漬けポークジャーキーの試作過程と科学的根拠を詳しく解説します。
琉樹商店では、調理味噌を使った商品開発を進める中で、「普通の肉みそとどう差別化するか」という課題に直面していました。そこで着目したのが「乾燥肉」という選択肢です。
きっかけは、木更津の朝市に参加した時に出会った「リンゴのドライフルーツ」。実際に食べてみると、乾燥による旨味の凝縮に驚きました。程よくしっとりした食感と凝縮された甘酸っぱい旨味が特徴的だったのです。この経験に触発され、その後、自宅でリンゴやキウイフルーツ、大根を乾燥させる実験を重ねました。
乾燥食のメリット: 乾燥により不要な水分が抜け、旨味成分が凝縮されます。同時に日持ちが大幅に改善され、食品として経済的にも優れています。
これらの経験から、「肉も乾燥させることで旨味が凝縮されるのでは?」という仮説に到達。さらに「どうせなら地元の調理味噌を使いたい」という想いから、今回のプロジェクトがスタートしたのです。
YouTubeで「味噌漬けジャーキー」を検索してみましたが、味噌に漬け込んだ熟成肉の例はあるものの、乾燥肉の情報は見当たりませんでした。そこで登場するのがAI。ChatGPTと協力して、最適な漬けダレを設計することにしました。
塩分濃度10%に設定した配合を、AIに提案してもらいました。初期案では水を使用していましたが、さらに追加の質問として「水の代わりにみりんを使うとどうなるか」をAIに相談。その結果、みりんの使用により「まろやかさとコクがアップし、仕上がりがしっとりかつ食べやすくなる。香ばしさが加わり、風味がより豊かになる」という回答を得ました。
🧂 味噌漬けダレの配合(豚肉1kg用)
豚肉(ロース) – 1kg
味噌 – 250g
みりん – 50ml
砂糖 – 50g
にんにく(すりおろし) – 15g
生姜(すりおろし) – 15g
※ 塩分濃度は約10%に調整済み
今回使用した味噌は、地元の醸造所で作られた無添加の生味噌です。生味噌には酵母や乳酸菌などの微生物が生きており、この点が非常に興味深い特性を持っています。
発酵由来のアミノ酸が肉にしみ込むことで、旨味が濃厚になります。さらに、味噌に含まれる酵素「アミラーゼ」が肉のたんぱく質に働きかけ、さらにアミノ酸を増やしてくれます。つまり、味噌は単なる調味料ではなく、肉を「調理」する生きた調味料として機能するのです。
試作ということもあり、入手しやすさを考慮してスーパーで購入できる肉を選択しました。調べたところ、ジャーキーに適した肉は「脂肪が少ないもも肉」が推奨されていますが、店舗で見た限り使いやすそうなもも肉が見当たりません。
そこで代替案として選んだのが、「生姜焼き用ロース」。厚さ12~13mm、手のひらより一回り小さいサイズで、ちょうどジャーキー製造に適した大きさです。多少の脂肪が付いていますが、加熱時の脂肪の変化も興味深いということで、購入を決定しました。(カナダ産豚肉、100g当たり128円)
🔪 肉の下準備
準備した調味料を合わせてダレを作成します。肉を1枚ずつ丁寧にタレに漬け込み、冷蔵庫で一晩寝かせます。ラップをかけ、発酵・熟成を促進させます。
一晩寝かせた肉を観察すると、加工前と比べ表面の赤みが減り、全体的に暗い色合いに変わっています。この色の変化は、味噌に漬け込まれたことで肉が塩漬け状態となり、色合いが変わるためです。同時に、味噌に含まれる塩分による浸透圧の作用で、水分が浸み出ています。重要な点として、この水分はドリップ(冷凍肉の解凍時に出る液体)ではなく、旨味成分は含まれていないと考えられます。
今回は肉の表面に付着したタレを意図的に拭き取らず、そのまま乾燥させることにしました。網の上に肉同志が接触しないように並べ、乾燥機で60℃、10時間乾燥させます。


乾燥機のファンが回り、温度が上昇してくると、甘くて濃厚な香りが部屋中に漂ってきました。この時点で「これは期待できそう」という手応えを感じます。みりんの甘さ、味噌の香ばしさ、生姜のアクセントが混ざり合った、複雑で食欲をそそる香りです。
乾燥機のファンが回って、温度が上がってくると甘くて濃厚な香りが漂ってきました。これは期待できそうです。

乾燥後の肉は、みりんの効果もあってか表面に程よい光沢があり、理想的な仕上がりです。硬さはカチカチになりすぎず、生ハムを連想させるちょうどよい食感に仕上がっています。
この記事で使用している無添加の生味噌を使って琉樹商店では色々な調理味噌を作っています。ぜひお試しください。
豚肉を使用している以上、生で食べたくなる気持ちをぐっと堪えて、加熱殺菌処理を行います。サルモネラ菌、カンピロバクター、大腸菌などを十分に殺菌するためには、食肉の中心温度が75℃以上で1分以上の加熱が必要です。
AIに再度相談したところ、厚さ1cm程度の乾燥肉の中心部を75℃で1分以上加熱するには、85℃以上で20分の加熱が必要とのこと。蒸し器がないため、大きめの鍋にお湯を張り、お菓子作りに使うステンレスザルで高さを確保した器にジップロックに入れた乾燥肉を置きます。蓋にはタオルを巻いて、水滴が落ちるのを防止。温度計とタイマーをセットして加熱を開始します。
🌡️ 加熱殺菌の条件
加熱温度:85℃以上
加熱時間:20分以上
対象:厚さ1cm程度の乾燥肉
目的:中心温度75℃以上を確実に達成


20分の加熱を終えて取り出した肉を観察すると、加熱で脂分が溶けたせいか、表面がツヤツヤしており、非常に美味しそうに仕上がっています。香ばしい味噌と甘い香りが織り交ざり、食欲がそそられます。
カットして断面を観察すると、その緻密さに驚きます。「凝縮されているとは、このことか」と視覚的に納得。肉の繊維質が整然と並び、きめ細かく、まるで鉱物や結晶のような美しさです。ギッシリ詰まっているのが一目瞭然です。

断面はとてもきめ細かく詰まっている感じ

脂身がとても甘く、濃厚さを引き立てます
色々なサイズにカットして試食してみました。
最初に感じるのは「旨味の凝縮」。このポイントは何度も繰り返してしまうほどですが、本当にそれに尽きます。硬さはサラミソーセージより少し柔らかく、噛んで味わうのに最適な食感。小さくカットしたものでも十分に味わえ、大きいものは贅沢ささえ感じられます。
特筆すべきは脂身の甘さ。この甘さが肉の旨味の濃厚さをさらに引き立てる役割を果たしています。また、軽くあぶって加熱すると、さらに柔らかくなり、香ばしさと濃厚さが際立ちます。ただし、冷めると最初の状態より固くなるという特性があるため、食べるタイミングには工夫が必要です。
そのまま食べるのはもちろん、様々な活用法が考えられます
琉樹商店の調理味噌で、あなたも試してみませんか?琉樹商店の調理味噌で漬け込むと様色々な味と香りが楽しめます。
今回のプロジェクトを通じて、肉を乾燥させると想像以上に旨味が凝縮されることが実証されました。これは単なる経験的な気づきではなく、微生物や酵素の働きにより科学的に説明できる現象です。
次回は他の肉部位や魚介類の乾燥にも挑戦したいと考えています。今回は乾燥機を使用しましたが、適切な季節であれば天日干しも可能です。乾燥後の加熱殺菌は必須要件ですが、きちんと行えば非常に美味しいものが完成します。
皆さんも家庭で試してみてはいかがでしょうか。発酵食品の力と乾燥技術を組み合わせた、新しい食の可能性をぜひ体験してください。
他にも味噌をはじめ発酵食品や腸活など色々な記事があるので、読んでみてください。
この度、琉樹商店では、ちばぎん商店のクラウドファンディングに挑戦することになりました。 「クラウドファンディングで味噌を広めたい」という想いから 千葉の海と大地の恵みを味噌に込めて 千葉県の魅力的な食材と味噌を組み合わせた「房の恵味」シリーズをお届けします。
炊き立てのご飯にのせれば、それだけでごちそうに。酒の肴や、炒め物、煮ものの味付けにも活躍します。クラウドファンディング限定のお得なセットは2025年8月18日~10月31日まで。
千葉の味をぜひ多くの方に知っていただきたい。地域の味を未来へ残すためのプロジェクトです。ぜひご支援・ご参加ください。▶詳しくはこちら↓↓
クラウドファンディングへのご支援ありがとうございました!
✨9月から10月末まで挑戦していたクラウドファンディングでは、たくさんのご支援をいただきました。心より感謝申し上げます。
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