高山 和弘
1968年10月6日生まれ。建築、運送業を経て起業。両親の介護を機に母親の手作り調理味噌の販売を開始。料理好きな母親の味を多くの人に届けたいという想いで、現在は調理味噌作りに励んでます。
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毎日何気なく飲んでいる味噌汁。その源となる大豆と味噌、どちらが栄養的に優れているか、考えたことはありますか?
実は、同じ大豆でも「生のまま」と「味噌に発酵させた」では、栄養の質が大きく変わるんです。本記事では、大豆がどのように味噌に変わり、その過程で何が起きるのかを、難しい言葉なしで解説します。
大豆に含まれる栄養素と、それが実際にどの程度身体に取り込まれるのかは、全く別の問題です。この章では、見た目の栄養価と実際の吸収率の大きなズレを説明し、生の大豆がなぜ効率的ではないのかを説明します。
大豆は「畑の肉」と呼ばれ、100gあたり約35gというタンパク質を含みます。これは牛肉より多い量です。
しかし、この豊富なタンパク質が、実は身体に吸収されにくいという落とし穴があります。
生の大豆のタンパク質分子は、調理後も密集した状態のままです。人間の消化器官では、この構造を完全には分解できません。結果として、食べたタンパク質のうち3割近くが、吸収されずに体外へ排出されます。
例えば、毎日大豆を食べてタンパク質不足を補おうと考えている人がいるとします。しかし、実際には摂取したタンパク質の30%程度が、身体の役に立たないままスルーしてしまっているのです。これは、営養管理の観点からは非常に非効率な食べ方だということです。
吸収率で比較すると:
豆腐でさえ生の大豆より吸収率が高いのに、古くからの栄養学では「大豆がいい」と言われ続けてきました。実は、調理方法や発酵プロセスが栄養価を大きく左右しているのです。
タンパク質の問題に加えて、大豆には別の栄養吸収を妨げる成分が存在します。それが「フィチン酸」です。
フィチン酸はカルシウムや鉄などのミネラルと結合し、腸での吸収を阻害します。ミネラルがフィチン酸に「つかまったまま」だと、腸壁を通り抜けることができず、体外へ排出されてしまいます。
骨が弱い女性が「カルシウムを摂らなくちゃ」と毎日大豆を食べていても、実はその70%以上が身体に吸収されていなかった—こんなことが、現実に起きているのです。厚生労働省の栄養調査でも、大豆製品の過剰摂取は効果的でないという報告が出ています。
吸収率で比較すると:
生の大豆から摂ったカルシウムの70%以上が身体に吸収されずに失われているのです。これは深刻な栄養ロスと言えます。

味噌づくりの過程は、蒸した大豆に麹菌を加え、数ヶ月から数年かけて発酵させることから始まります。
この間、麹菌が「プロテアーゼ」という酵素を分泌し、大豆の硬いタンパク質を段階的に分解していきます。
分解の進み方:
初期段階(1~2ヶ月):大きなタンパク質分子が、中程度の「ペプチド」に分割される
中期段階(3~6ヶ月):ペプチドがさらに細分化される
最終段階(6ヶ月以上):最小単位の「アミノ酸」になる
この時間的な変化は、例えば大きなコンクリートの塊を、まずハンマーで割り、次にさらに細かく砕き、最後に粉になるまで細かくするのに似ています。麹菌の酵素は、そのような段階的な「細粒化」を行っているのです。
アミノ酸という小さな粒子になると、腸が容易に吸収できます。
結果として吸収率は:
生の大豆:65~70%
味噌:95~98%
つまり、ほぼすべてのタンパク質が身体に取り込まれるようになるのです。古い味噌ほど(赤味噌や、2年以上熟成させたもの)この効果がより顕著になります。

栄養の吸収が向上することは理解できても、実生活でどのような変化をもたらすのかは別の問題です。この章では、朝の一杯から数十年単位での長期効果まで、具体的な健康効果を示します。
朝食に温かい味噌汁(50~60℃)を摂取すると、複数の生理的変化が起きます。
まず、温かい液体が胃に入ることで内臓温度が上昇し、血流が改善されます。これにより夜間に低下していた体温が回復し、朝のだるさが軽減されます。
同時に、味噌に含まれるグルタミン酸というアミノ酸が神経系を活性化させ、脳の目覚めを促進します。
研究データでは:
つまり、5分で準備できるこの食事は、医薬品に匹敵する効果を発揮するのです。

一杯の効果は、その日限りではなく、毎日の積み重ねが人生全体に影響を与えます。
長野県の統計が物語っています。この県は全国でも長寿で知られ、その理由の一つが味噌消費量の多さです。全国平均の4kg/年に対し、長野県は約6kg/年を消費しています。
同県の女性たちの健康指標は:
これは偶然ではなく、毎日の味噌汁に含まれるイソフラボン(大豆由来の植物性女性ホルモン)が、加齢に伴うホルモン低下を緩和し、骨密度を維持しているからです。
30代の女性が「今は骨のことなんて」と思うかもしれません。しかし、若い時代からこの習慣を続ければ、60代、70代、80代になった時に、その効果の差は顕著になります。骨折で寝たきりになることもなく、心身ともに自立した人生を送ることができるのです。
つまり、今日の一杯の味噌汁は、数十年後の「幸福な老後」への小さな投資なのです。
味噌汁の最大の利点は、その自由度の高さです。同じ基本の味噌汁でも、加える具材次第で栄養価と健康効果が大きく変わります。この章では、目的別の具材選択法と、琉樹商店の「房の恵味」シリーズの価値を説明します。
味噌汁には確かに1.2~1.5gの塩分が含まれています。しかし、具材選びによってこの塩分の身体への負荷を軽減できます。
わかめに豊富に含まれる「カリウム」という成分は、身体の中でナトリウム(塩分)の排出をサポートします。わかめを加えるだけで、塩分の身体への影響が減少するのです。
さらに豆腐のカルシウムが加わることで、塩分排出と骨強化の両立が実現します。
この組み合わせは以下の人に適しています:

「最近疲れやすい」「朝起きられない」という人は、鉄不足が原因かもしれません。
植物性の鉄は、単独では吸収されにくいのですが、ほうれん草に豊富なビタミンCがその吸収を3倍以上に高めます。さらに、味噌の有機酸が鉄吸収をさらに促進するのです。
結果として、この組み合わせは植物性鉄を最も効率よく吸収できる食事の一つになります。豆腐のタンパク質も加わり、疲労回復効果が強化されます。
この組み合わせは以下の人に適しています:
生の大豆から味噌へのプロセスは、単なる食材の変化ではなく、栄養学的な進化です。
タンパク質吸収率は65~70%から95~98%へ、カルシウムは25~30%から55~70%へと改善され、新たな有効成分も生まれます。
江戸時代から食べられてきた味噌汁は、現代の科学によって初めてその真の価値が証明されました。毎朝5分で実現できる、この健康習慣を始めることをお勧めします。

こうした具材選びの効果をさらに高めるのが、琉樹商店の「房の恵味」シリーズです。
国内産大豆を使用し、地元食材と組み合わせることで、基本の味噌汁よりもさらに栄養効果を引き出しています。
ホンビノス貝味噌は、海産のタウリンが疲労回復を促進し、豚味噌はビタミンB1で糖質エネルギー化を強化し、スズキ味噌はDHA・EPAで脳機能を保護します。



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