ヨーロッパの驚きの発酵食品:歴史と文化に根ざした独特な食の世界
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ヨーロッパの発酵食品は、驚きと魅力に満ちた食文化の宝庫です。 「世界一臭い」シュールストレミングや、虫入りチーズのカス・マルツなど、強烈な個性を放つ食品たちは、過酷な自然環境と知恵から生まれました。
本記事では、スウェーデン、アイスランド、イタリア、ノルウェーなどに根ざす4つの発酵食品を取り上げ、その歴史・文化・健康効果を探ります。 味覚の冒険に出かけてみませんか?

今回登場するクセ強発酵グルメたち
・シュールストレミング(スウェーデン)
・ハカラル(アイスランド)
・カス・マルツゥ(イタリア)
・ラケフィスク(ノルウェー)
【スウェーデン】世界一臭い!?| シュールストレミングの発酵文化と食べ方
シュールストレミングは、スウェーデン発祥の発酵ニシンで、「世界一臭い食品」として知られています。
強烈なにおいと独特の風味から“挑戦グルメ”として注目されがちですが、その背景には、北欧の厳しい自然環境と人々の知恵が息づいています。
単なる保存食にとどまらず、スウェーデンの文化や地域コミュニティの絆を深める、重要な食の伝統でもあるのです。
シュールストレミングの起源|中世スウェーデンの保存食文化
シュールストレミングの歴史は、16世紀のスウェーデンにまでさかのぼります。
当時、冬の厳しい寒さと物資不足により、新鮮な食材の確保が困難でした。そこで発展したのが、ニシンを発酵させて保存する技術です。塩分を控えめにし、樽に詰めて自然発酵させる方法が主流となり、乳酸菌の働きによって独特の風味と高い保存性が生まれました。
特にスウェーデン北部の漁師たちは、限られた資源を活かしてこの技術を改良し、手間をかけずに長期保存できる知恵として発展させていきます。
1790年代には商業化が進み、19世紀には缶詰技術の導入によって、シュールストレミングはスウェーデン全土に広まりました。
主にボスニア湾沿岸の漁師たちに親しまれたこの発酵ニシンは、彼らの暮らしと深く結びつき、地域の味として定着していきます。
現代のスウェーデンでは、缶を開けるときの強烈なにおいを避けるため、屋外で開封するのが一般的。この行為は一種の儀式とされ、食べる瞬間はまるで冒険のような特別な体験として楽しまれています。
スウェーデンの伝統行事と発酵ニシン|文化的儀式としての役割
シュールストレミングは、スウェーデンの発酵文化を象徴する伝統食品として、文化的儀式の一環にもなっています。
特に毎年8月に開催される「シュールストレミング・プレミア」では、家族や友人が屋外に集まり、缶を開けるという特別なイベントが行われます。強烈なにおいを共有するこの体験は、地域の絆を深める貴重な機会として親しまれています。
食べ方にも独自のスタイルがあります。薄いパン(トゥンブロード)に、ジャガイモ、タマネギ、クリームを添えて巻くのが一般的で、発酵ニシンの風味を引き立てる伝統的な組み合わせです。
この食文化は、単なる味覚体験にとどまらず、先祖が厳しい自然を生き抜いた歴史を感じさせる象徴でもあります。
近年では、缶詰技術の発展により都市部でも手軽に楽しめるようになり、観光客にとっては“挑戦グルメ”として注目の的に。実際、初めて食べる外国人のリアクション動画はYouTubeなどで話題を呼び、“世界一臭い食品”として国際的な知名度を高めています。
シュールストレミングは、ただの保存食ではなく、スウェーデンの発酵文化の過激さと知恵を体現する存在なのです。

【アイスランド】発酵サメ・ハカラルとは?|驚きの製法と文化背景
ハカラルは、アイスランドの厳しい自然環境から生まれた、サメを発酵させた伝統食品です。
強烈な風味と独特な製法で知られ、“世界でもっとも挑戦的な発酵食品”のひとつとして話題を集めています。
しかしハカラルは、単なる珍味ではありません。その背景には、バイキング時代から続く保存技術と、アイスランドの暮らしに根ざした文化が息づいています。
本章では、ハカラルの起源や発酵方法、そして現代のアイスランドにおける文化的な意義について、詳しくひもといていきます。
ハカラルの歴史|バイキング時代から続く発酵技術
ハカラルの起源は、9世紀のバイキング時代のアイスランドにまでさかのぼります。
厳しい気候と限られた資源の中で、食料の長期保存は生存に直結する重要な課題でした。そんな中、バイキングたちはグリーンランドザメを発酵させる独自の保存技術を生み出します。
このサメは体内に毒性のある尿素を多く含み、生のままでは食べられません。しかし、彼らはサメを地中に埋めて数ヶ月発酵させることで、毒素を分解し、安全に食べられる状態にする方法を発見しました。
発酵後のサメ肉は天日で干され、強烈なアンモニア臭を放つハカラルが完成します。そのにおいは一度嗅げば忘れられないほど強烈で、初めて体験する人にとっては衝撃的な味覚体験となります。
17世紀の記録によれば、ハカラルはアイスランドの農民にとって冬の重要なタンパク源であり、過酷な自然環境を生き抜くための知恵として定着していました。
この伝統は、ハウクル・ヘレインソン(Haukur Hreinsson)著『アイスランド人の完全なサガ(The Complete Sagas of Icelanders、1997年)』や、シグルズル・ギースラソン(Sigurður Gíslason)著『アイスランド料理と食文化(Íslensk matargerð og menning、2010年)』にも記録されています。
ハカラルの今|アイスランド文化と観光資源としての価値
現代のハカラルは、アイスランドの冬の伝統行事「ソリ(Þorrablót)」において、重要な役割を果たしています。
この祭りはバイキング時代の文化を祝うもので、ハカラルは先祖の生存技術を象徴する発酵食品として、特別な意味を持っています。強烈なにおいにもかかわらず、地元の人々はこれを「アイスランドの味」として誇りを持って受け入れています。
近年では、ハカラルは“挑戦的な発酵食品”として観光客の注目を集める存在となり、特に日本人を含む海外旅行者の間で話題に。SNSではそのリアクションが多く共有され、納豆との比較もよく見られます。
発酵の過程や独特の風味は、北欧の知恵と限られた資源を活かす食文化の象徴であり、近年ではその価値を再評価する動きも広がっています。これは、シュールストレミングなど他の北欧発酵食品とも共通する特徴です。
現在のハカラルは、観光向けにキューブ状にカットされ、地元の蒸留酒「トゥールブロイ(Brennivín)」とともに提供されるのが一般的です。
このように、ハカラルは単なる保存食ではなく、アイスランドの歴史と文化を体現する発酵食品として進化を続けています。
さらに近年では、伝統的な食文化としての価値が見直されると同時に、“挑戦グルメ”として観光資源としての注目も高まり、発酵食品の多様な魅力を再発見する象徴的な存在となっています。

【サルデーニャ】カス・マルツとは?|虫入りチーズの真実と伝統
カス・マルツ(Casu Marzu)は、イタリア・サルデーニャ島で作られる、世界でも特に異彩を放つ発酵チーズです。
厳しい自然環境と保存技術の知恵から生まれたこのチーズは、ハエの幼虫を意図的に繁殖させて発酵を進めるという、極めてユニークな製法で知られています。
強烈な見た目と風味から“虫入りチーズ”として話題になることも多いですが、カス・マルツは単なる珍味ではなく、サルデーニャの伝統や地域アイデンティティを体現する発酵食品です。
本章では、カス・マルツの歴史や製法、そして「食とは何か?」という価値観に問いを投げかける存在としての意味を探っていきます。
カス・マルツの起源|古代ローマから続く発酵チーズの歴史
カス・マルツ(Casu Marzu)の起源は、古代ローマ時代にまでさかのぼります。
当時、サルデーニャの羊飼いたちは、生活の糧としてチーズを屋外で自然熟成させる方法を用いていました。その過程で偶然、ハエがチーズに産卵し、幼虫が内部を分解することで独特の風味とクリーミーな食感が生まれたとされています。
古代の記録や伝承によれば、この“虫入りチーズ”は労働者たちの間で珍重され、地域の特産品として親しまれていたようです。
カス・マルツの製法では、幼虫がチーズの脂肪を分解して生成する脂肪酸が、強烈で複雑な風味を生み出します。この技術は、保存性を高めるための実用的な知恵でもありました。
しかし、衛生面での懸念から、EUではカス・マルツの販売が禁止されています。それでも、サルデーニャの一部地域では伝統文化として密かに作り続けられており、特別な行事や祝いの席で提供される“幻のチーズ”として今も根強い人気を誇っています。
カス・マルツをめぐる現代の議論とサルデーニャの食文化
カス・マルツは、サルデーニャの食文化に深く根ざした発酵チーズであり、地域の人々にとって特別な意味を持つ存在です。
古くから農民たちは、幼虫入りのチーズを祝いの席など特別な機会に食べる伝統を守り続けてきました。幼虫がチーズを分解することで、栄養価が高く、消化吸収に優れた食品となり、過酷な自然環境の中で暮らす人々の貴重な栄養源となってきたのです。
一方で、EUの食品衛生基準に適合しないことから、カス・マルツは現在も公式な市場には出回っていません。
それでも、サルデーニャでは伝統を守る人々によって密かに作られ続けており、地元の信頼関係の中で観光客に提供されることもあります。この“知る人ぞ知る存在”が、食の限界に挑む体験を求める旅行者や食通たちの間で、特別な魅力として語られているのです。
このようにカス・マルツは、シュールストレミングやハカラルと並び、極端な発酵食品として国際的にも注目される存在です。特に日本人をはじめとする外国人旅行者にとっては、“食文化の限界”に挑む象徴的な一品として語られることも少なくありません。
カス・マルツは、食文化の多様性や歴史を体感できる貴重な発酵食品であり、サルデーニャの魅力を伝える存在でもあります。

琉樹商店でも調理味噌の開発に取り組む中で、こうした世界の発酵文化に学びながら、新たな味わいへの挑戦を続けています。
【ノルウェー】ラケフィスクとは?|バイキングの知恵が生んだ発酵魚
ラケフィスク(Rakfisk)は、ノルウェーで古くから親しまれてきた、発酵によって独特の風味を持つ伝統的な魚料理です。
元々は、寒冷な気候の中で魚を長期保存するための知恵として生まれ、バイキング時代から続く発酵文化の一端を担ってきました。
塩漬けにした淡水魚を低温で数ヶ月発酵させることで、クセのある香りと深い旨味が生まれ、冬の保存食として重宝されてきたのです。
現代では、発酵食品の健康効果や伝統食への関心の高まりとともに、ラケフィスクはノルウェー国内外で再評価され、冬の味覚として多くの人々に愛されています。
ラケフィスクの起源|バイキング時代の魚の発酵保存法
ラケフィスク(Rakfisk)の起源は、8世紀から11世紀にかけて栄えたバイキング時代のノルウェーにさかのぼります。 当時、厳しい冬を乗り越えるために、バイキングたちは鱒やニシンなどの魚を塩と水に漬け込み、発酵させることで保存性を高める技術を発展させました。
この発酵の過程で、魚に含まれる脂肪分が分解され、酸味と旨味が調和した独特の風味が生まれます。これが、今日まで受け継がれるラケフィスクの原型です。
12世紀の文献には、発酵魚が冬の主要なタンパク源として重宝されていたことが記されており、この技術が当時の人々の生存戦略の一環であったことがうかがえます。
ラケフィスクは、シュールストレミングに比べて塩分濃度が高く、においはやや穏やかでありながら、発酵特有の深い味わいを持つのが特徴です。
ラケフィスクの魅力|ノルウェーの冬の味覚と現代の人気ぶり
ラケフィスク(Rakfisk)は、ノルウェーの冬の食文化において中心的な役割を果たす伝統料理です。 特にクリスマスシーズンには、家庭で楽しまれる定番メニューとして親しまれており、「ラケフィスク・フェスティバル」では全国から愛好者が集まり、最高の一品を競うコンテストも開催されます。
こうした催しは、地域の絆を深め、発酵文化を次世代へと継承する大切な行事として、現代でも根強い人気を誇っています。
さらに近年では、健康志向の高まりとともに、ラケフィスクに含まれるプロバイオティクス(乳酸菌)による腸内環境の改善効果にも注目が集まっています。 発酵食品の健康効果が広く認知される中で、ラケフィスクは美味しさと機能性を兼ね備えた食品として再評価されつつあります。
このようにラケフィスクは、北欧の発酵文化を象徴する存在であり、シュールストレミングやハカラルと並ぶ“臭い発酵食品”として国際的にも知られる一方で、独自の食文化を築いてきました。
その伝統と革新のバランスは、ヨーロッパにおける発酵食品の多様性と奥深さを物語っており、今後も人々の食生活に影響を与え続けることでしょう。
この文化的背景については、サンダー・エリックス・カッツ(Sandor Ellix Katz)著『発酵の技術(The Art of Fermentation、2012年)』にも詳しく紹介されています。

発酵食品のグローバル化|ヨーロッパの知恵が世界へ広がる
発酵食品は、かつて人々が過酷な自然環境を生き抜くために編み出した“生存戦略”でした。
冷蔵技術のない時代、限られた資源を最大限に活かすために、ヨーロッパ各地では魚や乳製品、肉などを発酵させて保存する知恵が発展しました。
シュールストレミング、ハカラル、カス・マルツ、ラケフィスクといった食品は、極限の環境が生んだ創造性の結晶であり、地域の文化やアイデンティティを形づくる存在となっています。
一方で現代においては、こうした“臭い”や“クセが強い”発酵食品が、SNSや動画メディアを通じて世界中の注目を集めるようになりました。 「食の限界に挑むグルメ」として紹介されることで、かつての保存食がエンタメ性や文化的価値を伴って再評価されているのです。

広がっている。
このように、発酵食品は単なる食材ではなく、時代とともに意味を変えながら生き続ける“文化の遺産”です。 生存の知恵から始まり、今では世界をつなぐ話題の中心へ──発酵食品は、過去と未来を結ぶ食の架け橋となっています。
私たち琉樹商店でも、こうした世界の発酵文化に学びながら、日本の風土に根ざした調理味噌や発酵食品の開発に取り組んでいます。
伝統と革新が織りなす味わいを、ぜひ日々の食卓でお楽しみください。
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