まだあった!アジアの最恐発酵食品 | 琉樹商店

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まだあった!アジアの最恐発酵食品

以前の記事「閲覧注意!アジアの最恐発酵食品」では、韓国のホンオフェや中国の臭豆腐、発酵ドリアンなどをご紹介しましたが、アジアの発酵食品の奥深さはまだまだ底知れません。今回は、さらなる衝撃的な5つの発酵食品をピックアップしました。魚介系の発酵調味料から遊牧民の伝統的乳製品まで、その強烈さは前回を上回るかもしれません。覚悟を決めてお読みください。

ミャンマーの「ンガピ」- 魚の発酵ペーストの王者

ミャンマーの伝統的調味料「ンガピ」は、ミャンマー語で「ンガ(魚)」と「ピ(圧する)」を組み合わせた言葉で、その名の通り魚を圧縮発酵させた調味料です。ナマズ類の魚の内臓やウロコを取り除き、塩をまぶして、水切りし、さらに塩を混ぜて木箱につめ、発酵熟成させたもので、ミャンマー料理には欠かせない万能調味料として愛用されています。

製造過程が生み出す驚異的な匂い

ンガピの製造は極めてシンプルながら、その過程で生まれる匂いは想像を絶するものです。まず新鮮な淡水魚(主にナマズ類)の内臓とウロコを丁寧に取り除き、大量の塩と混ぜ合わせます。この塩漬け魚を木製の箱に隙間なく詰め込み、重石を載せて圧縮しながら数ヶ月から1年間発酵させるのです。発酵が進むにつれて魚のタンパク質が分解され、独特の発酵臭が強くなります。完成したンガピは灰色がかった茶色のペースト状になり、その強烈な匂いは慣れない外国人には相当な衝撃を与えます。しかし、この匂いこそがミャンマー料理の深いコクと旨味の源となっているのです。

ミャンマー料理に欠かせない万能調味料

ンガピは単なる調味料以上の存在で、ミャンマーの食文化に深く根ざした基本調味料です。カレーやサラダ、炒め物など、あらゆる料理に使用され、その使い方は実に多様です。生のまま野菜につけて食べることもあれば、油で炒めて香りを立たせてから他の食材と合わせることもあります。また、ンガピを水で薄めて発酵魚醤として利用することも一般的で、この液体は「ンガピャーイェー」と呼ばれます。栄養面では、発酵により生成されたアミノ酸が豊富で、特にグルタミン酸による強い旨味が特徴的です。現地の人々にとってンガピなしの料理は考えられないほど重要な調味料となっており、海外に住むミャンマー人も必ず持参する「故郷の味」の象徴でもあります。

カンボジアの「プラホック」- 東南アジア最強の魚醤

カンボジアの国民的調味料「プラホック」は、淡水魚を発酵させて作る魚醤で、その強烈さは東南アジア随一と言われています。クメール料理の基本調味料として千年以上の歴史を持ち、カンボジア人の食生活に深く根ざした存在です。製造には主にメコン川流域で獲れる小魚を使用し、塩と混ぜて長期間発酵させることで、独特の風味と強烈な匂いを持つ調味料に仕上がります。

1年間発酵させた淡水魚の衝撃

プラホックの製造工程は時間をかけた伝統的な手法で行われます。メコン川などで獲れた新鮮な小魚(主にムダンプライと呼ばれる種類)を塩と混ぜ合わせ、大きなかめや木製の容器に詰めて発酵させます。発酵期間は通常1年以上で、この間に魚のタンパク質が徐々に分解され、複雑な旨味成分が生成されます。完成したプラホックは灰褐色のペースト状になり、魚の形はほとんど原型を留めていません。その匂いは非常に強烈で、初めて嗅ぐ人は圧倒されることが多いです。しかし、この長期発酵により生まれる深いコクと旨味こそが、カンボジア料理の味の要となっているのです。発酵過程で生成される乳酸菌や各種アミノ酸により、単なる塩辛とは比べ物にならない複雑で豊かな風味が生まれます。

カンボジア人も愛憎半ばする国民食

プラホックに対するカンボジア人の感情は複雑です。多くの人にとって「おふくろの味」であり、故郷を思い起こさせる懐かしい調味料である一方、その強烈な匂いには慣れ親しんだ人でも時として辟易することがあります。都市部の若い世代の中には、プラホックの匂いを嫌う人も増えており、より匂いの穏やかな代替調味料を選ぶ傾向も見られます。しかし、伝統的なカンボジア料理を作る際には必要不可欠な調味料であり、特に農村部では今でも各家庭で手作りされています。プラホックは単体で使用されることは少なく、通常は他の調味料と混ぜ合わせてソースを作ったり、炒め物や煮込み料理の隠し味として使用されます。その用途の広さから「カンボジアの醤油」とも呼ばれ、カンボジア料理の味の決め手として重要な役割を果たしています。

ラオス・タイ北部の「パデーク」- 川魚発酵の極致

ラオスとタイ北部イサーン地方で愛用される「パデーク」は、淡水魚発酵調味料(ラオス名:パデーク)は内陸国ラオスの重要な食料資源である淡水魚を、塩、米糠とともに常温で半年から1年程度発酵させた伝統食品です。メコン川流域の豊かな淡水魚資源を活用した保存食として発達し、現在でも現地の食文化に欠かせない調味料となっています。

現地人でも好き嫌いが分かれる強烈さ

パデークの強烈さは、現地の人々の間でも意見が分かれるほどです。数種類の魚を漬ける事で作られ、主にライギョ類のプラーチョンから作られる。魚は洗った後切り身に分けられ、塩と米糠と混ぜられる。その後、木蓋のある瓶に入れて3ヶ月から数年間の間醗酵させられる製法により、独特の強烈な匂いと味が生まれます。発酵が進むにつれて魚の身は崩れ、ペースト状になっていきます。完成品は茶褐色で、魚と米糠が混ざり合った独特の食感を持ちます。その匂いは非常に強く、慣れない人には耐え難いものですが、現地の人々にとっては慣れ親しんだ「故郷の味」です。ただし、ラオス人やタイ北部の人々の中にも、パデークの強烈な匂いを苦手とする人は少なくありません。特に都市部で育った若い世代には、より匂いの穏やかな調味料を好む傾向が見られます。

メコン川の恵みが生んだ発酵文化

パデークの歴史は、メコン川流域の豊かな淡水魚資源と深く結びついています。海のないこの地方では魚といえば川魚が主で、昔から雨がほとんど降らない乾期には川魚の塩漬けや魚醤漬けのマリネを長期保存食と食べてきましたという背景があります。メコン川とその支流では多様な淡水魚が獲れ、これらを無駄なく活用するために発酵技術が発達しました。パデークは単なる調味料ではなく、タンパク質源としても重要な役割を果たしています。グルタミン酸、リジン等の遊離アミノ酸を含む保存性の高い万能調味料として広く食されていることから、栄養面でも優れた食品であることがわかります。現代でも、ラオスの農村部では各家庭でパデークを手作りしており、その味は家庭によって微妙に異なります。この多様性こそが、パデークが単なる商業的な調味料ではなく、生活に根ざした文化的な食品である証拠と言えるでしょう。

モンゴルの「アーロール」- 遊牧民が生んだ酸っぱいチーズ

モンゴルの伝統的乳製品「アーロール」は、ヨーグルトを発酵させて作るため、酸味が強いのが特徴で、遊牧民の厳しい生活環境から生まれた究極の保存食です。主にヨーグルトや乳を乾燥させて作るチーズの一種です。保存性が高く、栄養価も豊富で、モンゴルの遊牧民にとって重要な食糧の一つとして、モンゴルの「白い食べ物」の代表格として愛されています。

石のように硬い極限まで乾燥した乳製品

アーロールの最大の特徴は、その驚異的な硬さです。アーロールの中には、歯が立たないほど硬く干したものもあるらしいと記録されているほどで、完全に乾燥したアーロールは文字通り石のような硬さになります。製造過程では、発酵乳を加熱して凝固させた後、脱水し、天日で徹底的に乾燥させます。モンゴルではアーロールをゲルの屋根の上にひろげ、夏の太陽で乾かし、冬でも食べられるよう保存するため、水分を極限まで除去する必要があります。完成したアーロールは象牙色から薄茶色で、表面はつるつるとしており、まさに石のような外観です。食べる際は口の中で唾液でゆっくりと溶かしながら味わうか、お茶に入れて柔らかくしてから食べることが一般的です。この極度の硬さこそが、長期保存を可能にする重要な要素なのです。

大草原で育まれた究極の保存食

アーロールは、モンゴル高原の厳しい環境条件から生まれた究極の保存食です。厳しい冬を生き抜くための貴重な保存食、貴重な栄養源として大切に作られてきた歴史があり、遊牧民にとって生命を支える重要な食料でした。夏の短い期間に大量に作り、長い冬期間の栄養源として蓄えられます。発酵が進んだ乳を加熱し、乳清を取り除いて脱水し、成形して天日に干して作る保存食で、非常に硬く酸味が強い特徴により、常温で数年間も保存が可能です。栄養面では、濃縮された乳タンパク質とカルシウムが豊富で、ビタミンB群も含まれています。味は、チーズとヨーグルトの中間。チーズと思って食べると、酸味が拒否反応を示して美味しくない。でもヨーグルトと思って食べると、酸味が少しは美味しくも感じられるという複雑な味わいが特徴で、慣れない人には強烈な印象を与えます。

中央アジアの「馬乳酒(アイラグ/クムス)」- 発泡する発酵乳

中央アジアの遊牧民が古くから愛飲する「馬乳酒」は、モンゴルでは「アイラグ」、キルギスなどでは「クムス」と呼ばれる伝統的な発酵乳飲料です。馬の乳を乳酸発酵とアルコール発酵によって作られる微発泡性の飲み物で、独特の酸味と微量のアルコールを含んでいます。遊牧民の食文化において重要な位置を占め、現在でも夏期の重要な栄養源として飲用されています。

馬の乳が織りなす酸味とアルコールのハーモニー

馬乳酒の最大の特徴は、その独特の酸味とアルコールが生み出す複雑な味わいです。製造は牧草を十分に食べた雌馬から搾った新鮮な乳を専用の革袋に入れ、定期的に撹拌しながら発酵させます。発酵過程では乳酸菌とアルコール発酵菌が同時に働き、乳糖が分解されて乳酸とアルコールが生成されます。完成した馬乳酒はアルコール度数1-3%程度の微発泡性飲料となり、その味は非常に酸っぱく、初めて飲む人には衝撃的です。牛乳とは全く異なる馬乳特有の風味に、発酵による酸味とわずかなアルコールの刺激が加わり、慣れない人には「酸っぱいビールのような」印象を与えます。しかし、この独特の味わいこそが遊牧民にとっての「故郷の味」であり、夏期の貴重な水分補給源でもあります。

遊牧民の伝統が生んだ神秘の飲み物

馬乳酒は単なる飲み物以上の文化的意味を持つ、遊牧民の伝統の結晶です。モンゴルや中央アジアの遊牧民にとって、馬は移動手段であると同時に、乳を提供してくれる貴重な家畜でもありました。馬の搾乳は技術的に困難で、1回の搾乳で得られる量も少ないため、馬乳酒は特別な飲み物として扱われてきました。製造には専用の革製容器「ホーホル」が使用され、この中で乳酸発酵とアルコール発酵が同時に進行します。発酵期間は通常2-5日程度で、気温や湿度によって味が左右されるため、職人的な技術が必要です。栄養面では、発酵により消化しやすくなったタンパク質とビタミンB群、さらに乳酸菌による整腸効果も期待されます。現代でも夏期限定の特別な飲み物として製造され、観光客向けの体験プログラムも人気を集めています。                          今回ご紹介した5つの発酵食品は、それぞれ異なる地域の厳しい環境条件から生まれた、人類の知恵の結晶です。ミャンマーのンガピ、カンボジアのプラホック、ラオスのパデークという魚介系発酵調味料は、いずれも強烈な匂いと味で初心者を驚かせますが、現地の料理文化には欠かせない存在です。一方、モンゴルのアーロールと馬乳酒は、遊牧民の厳しい生活環境から生まれた乳製品で、その独特の酸味と保存性の高さで生命を支えてきました。これらの発酵食品は、単に「変わった食べ物」ではなく、それぞれの地域の歴史、文化、生活様式が凝縮された貴重な文化遺産なのです。グローバル化が進む現代においても、これらの伝統的発酵食品は地域のアイデンティティを支える重要な要素として、次世代に受け継がれていくことでしょう。

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クラウドファンディングに挑戦中

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千葉の海と大地の恵みを味噌に込めて
千葉県の魅力的な食材と味噌を組み合わせた「房の恵味」シリーズをお届けします。

  • ホンビノス貝味噌:千葉の海の恵み
  • 豚味噌:千葉の大地の恵み
  • スズキ味噌:千葉の海の恵み

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